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「そろそろ時間です」 一人の兵が俺達のいる仮設キャンプに入り、そう言った。 今、俺の軍がいる場所は町から少し離れた森の中。 小高い所なので、木々の隙間からのどかな町並みがよく見える。 (ここが今から戦場になる……) 俺は厳しい顔をしながら、曇り始めた空を見ていた。 ふと、横から黒人でサングラスをしたスーツの男が歩み寄った。 「ルーク様。これを」 ルークというのは俺の名前。 「なんだ?」 俺は司令官らしい態度でそれを受け取った。 恐持てのサングラスの男に対して、まったく驚く様子は見せない。 「手紙です」 スーツ男は礼儀正しい。 「わかった、誰からだ?」 どこと無く親しげなのは、彼が俺の執事だからだ。 だから恐れることも、驚くこともないのだ。 俺の質問に彼は小声で耳打ちした。 「上の方から」 「そうか」 俺は手紙を開いた。 『ルーク殿、 今回の作戦では、 町の占拠、 町長の捕獲、 奴隷を30体以上入手すること、 これらを目的とする。       国家戦略大臣』 (奴隷30体……。 人を何だと思ってやがる!) 俺はその手紙を無惨に破り捨てた。
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