1beat!-brother-

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いつもの昼下がり 綺麗な青い空 何もかも、生きてるという実感が沸く 綺麗だ 眩しいほどに 「お…!……い!おい!」 「はっ、はい!何ですか?!音無さん!」 呼び掛けられてハッとする 知らないうちにぼーっとしてたようで、音無さんが困ったようにこっちを見ている 「今から、会議だろ?…直井、大丈夫か?」 「はい!すみません音無さん!」 慌てて頭を下げる すると音無さんは溜息をついて先に行ってしまった それを見送る そして (心配をかけるなんて僕もまだまだ未熟だな) そう小さく心の中で呟く 実際に未熟だ 未だに音無さんの役に立てていない 惨めだ やはり、兄のようにはなれないんだ 「まだ…僕は健人のままなのか……?」 ぽつり。 「やっぱり認めてもらえないのか…?」 ぽつり。 声となっているのは小さい が、心の中に自分の呟きが重く大きく響く 「文人は文人だ」 聞き覚えが無い いや、正しく言えば久しい声 悪寒が走る 逃げなくてはいけない気がする 見てはいけない気がする 「文人」 「き…貴様は誰だ」 声が震える 「酷いなあ…お前の……」 そいつの声が響く ――兄―― と
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