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「相変わらず、無茶を通せば道理が引っ込むみたいな闘い方をしますね」
なんの仕掛けもない単純な物量任せのごり押し。
それができるあたり、この人は流石だ。
「冬花だってそんな感じじゃん」
再び投擲用の剣を四本ずつ両手の指に挟み込み、元生徒会長は笑う。
「そりゃあ、この闘い方を教えたのが貴女ですからね。似るのは当然でしょう」
俺も両手の指に飛剣を挟み、次の攻撃に備えた。
「あははっ、それもそうだ……ねっ!」
元生徒会長が両手をクロスさせるように飛剣を放る。
広範囲に上手く散らばった八本の飛剣を、体を大きく横に移動させて避ける。
避けきれない一本は軽く弾いた。
「ほらほら、まだまだぁ!」
見ればまた八本の飛剣が飛び込んでくる。
全てを密集させた貫通力に優れる飛ばし方。
「ちっ」
体を上手く捻り、肌が触れるくらいで避けると同時に、右手に持つ四本を放った。
そして、間髪入れずに左手の四本。
直ぐに両手に飛剣をセットし全弾発射。
「まだまだだねぇ」
計十六本の飛剣を簡単に避けた元生徒会長は不敵に笑った。
「冬花。お前は本当に修行を続けてたのか? 全然変わってないぞ?」
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