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確かあれは私が５歳の頃のこと
父は急に何週間も帰らないことがよくあった
それが原因だったのか その頃父と母はよく喧嘩をしていた
家の中はいろいろな物と罵声が飛び交い それはまるで嵐のようで
私はまだ小さい弟を連れて押入れに隠れ 過ぎ去るのをじっと待って過ごしていた
母は毎日のように機嫌が悪く 私にもきつく当たった
「陽子 あなたさえいなければね
あんな男と結婚しなくてすんだのよ」
母が私に向かってよく言っていた言葉
父と母は今でいうできちゃた結婚なのだ
（私がいけないの・・
私はいちゃいけないの・・・）
大好きな母親に言われたその言葉は私を酷く傷つけた
それでも私は泣きながら
「ごめんなさい ごめんなさい・・・」
と ただすがるように謝るしかなかった
あとから知ったのだが 父は不倫をしていたらしい
当時父は喫茶店で働いており 私も何度か連れられて行ったことがあったが
どうやらそこで一緒に働いていた女性らしい
微かだが父と変に親しげに話す女性がいたのを覚えている
その結果両親は離婚調停もしていたそうだ
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