同窓会

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 招待状の地図を頼りにお店を探していると 「ピエールダイニング」という看板を見つけた  (ここだ!)  少し迷ったが街並みが変わったとはいえ 昔の地元なのですぐに見つけることができた  ホッとしたのか一息つくと 突然携帯が鳴り出した  同級生であり 今も変わらず友達付き合いのある河本みきからだった  「陽ちゃん 場所わかった?」  「うん 今着いたとこ」  「ホント? じゃあそっち行くね」  そういってさっさと携帯を切ってしまった  明るくて少しせっかちな彼女は 私をいつも笑顔にしてくれる大切な友達だ  親友というのは彼女みたいな人を指すのかも知れない  お店の前でみきが来るのを待っていると 急に横から声をかけられた  「あー陽ちゃん?  黒川陽子ちゃんじゃない?」  声をかけてきたのは 見事に全身ブランド物に身を包んだ おしゃれではあったが 厚化粧で恰幅のいい 見るからに  ”おばちゃん”だった  黒川は私の旧姓だが 誰だかわからない  キョトンとした顔で見ていると  「私よ 私! 分からない? 京子よ 前田京子」  「えー京子ちゃん?」  あまりに変わっていたので驚いた  記憶の中の京子は 細身でとても可愛らしい女の子だったのだ  「お互い変わっちゃったわね すっかり大きくなっちゃって!  いろんな意味でね」  こんな冗談が言えるところは変わらない  それに京子の笑顔だけは あの頃の面影がちゃんと残っていた
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