同窓会

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 いつも私たちは一緒だった  特にみきとは 家族ぐるみで仲がよかった  学校の帰りなどにみきの家の前を通りかかると みきのお母さんが笑顔で迎えてくれた    「あら 陽子ちゃん おかえりなさい」  「こんにちは おばさん」  「いつもみきと仲良くしてくれて ありがとうね  陽子ちゃんみたいにしっかりした子が友達で助かるわ」  「そんなことないですよ  じゃあ」  そういって帰ろうとすると  「そうそう陽子ちゃん 今日も晩ご飯作るんでしょ?」  みきのお母さんは 私がよく晩御飯を作っているのを知っていた  それは私の母が病弱で 私が小学4年生の時から入退院を繰り返していたからだった  「これたくさん作ったからよかったら持っていって!  うちの人あまり食べないのよね」  そういって見せてくれたのは ”ひじき” の煮物  真っ黒なそれはとても衝撃的だった  今まで我が家では食卓に並んだことがなく 食べたことはもちろん見たこともなかったのだ  「ありがとう おばさん」  私はもらったひじきを 大事に抱えて家に帰ると 早速一口食べてみた  初めて口にしたそれは 何よりも美味しいものに感じられた  みきのお母さんの自然な振る舞いの中に見え隠れする その優しさが私には凄く嬉しかったのだ  食べないものをたくさん作るわけがない  そんなことは子供の私にだって簡単に分かること  それからというもの私の大好物の中に  ”ひじき” が加えられたのは言うまでもない
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