同窓会

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 「陽子 今まで何してたの?  お母さんは病気なのよ  あなたがご飯作らなくて誰が作るの!」   少し帰りが遅いだけで いつものように厳しい言葉が飛んできた  母は病気のせいで 体調が悪い時はいつもピリピリしていたのだ  私は毎日のように夕飯を作り片づけをして 気付くといつも9時を過ぎていた  そんな中疲れきった私は 宿題も出来ずに眠ってしまうことがよくあった  次の日学校では  「はいそれでは 昨日の宿題集めまーす ノートを出してください」  と いつものように先生が 一人ずつノートを集めていく  私はもちろんやってあるわけもなく 先生が回ってきた時には下を向いて  何も書いていないノートを先生が集めていくのを見ていた  きっと怒られる そう思いながら・・  しかしその日はいつまで経っても怒られることなく  帰りの時間には普通にノートが返ってきた  私は不思議に思ったが そのノートを開いて全てが分かった  何も書いていない白紙のページに 赤いペンで大きくはなまるが付けられ そして小さくこうかかれていた  「宿題はできるときにすればいいからね いつもごくろうさま」  私は誰にも気付かれないように 一人で小さく泣いた  先生は私の家の事情をよく知っていたのだ  それでも私が負担に思うかと気遣い  それからは私のクラスだけ宿題の量が減っていき  そして週末の宿題は決まって  「今日と明日の宿題は お家のお手伝いにします  ちゃんとお父さんとお母さんの言う事を聞いて お手伝いをしてくださいね  いいですね わかりましたか?」  となった  そんな先生が私は大好きで いつしか第二の母親のように思っていた  先生からは勉強だけじゃなく 人の優しさ・温もりを教えられた  そんな小学5・6年だった
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