始まりは迷子

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こんなふうに、たったひとりで森を歩いたことのないリンは、すでに迷っていた。 不安でしかたがない。 こんな森の奥で迷っては、無事にでられるかわからない。 一番の問題は、ここにくることを、家人の誰にも言ってこなかったことだった。 たとえば、迷いに迷って、明日まで帰らなくても、誰も探しにはきてくれないのだ。 まさか森にはいっているとは、ましてやこんな奥までさ迷い込んでいるとは、夢にも思わないだろう。 地元の人間なら、まず近寄りもしない森だった。
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