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恐怖なのか、畏怖なのか。
リンが感じているとおりなら、前者だが、恐怖と神秘が同居した森なのも、本当なのだ。
ぶるっと、リンの肩がふるえた。
「…キオ!」
か細い声で、友達の名前を呼んだ。
もしかしたら、ついてきてくれているのではないか、と思った。
「…ガ、ガイハ!」
いつも一緒の、友達の名前を呼んでも、何も応えはなかった。
「キオ! ガイハ! 本当にいないの?」
森は、ただ静かだった。
このままでは、本当にここで夜を迎えることになる。
リンは、記憶を頼りに、戻ることにした。
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