1章 彼女を探して三千里~ストーカーではありません~

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久柳沙希との思い出に浸っていると、新入生代表のあいさつも終わってしまっていました。 いやー彼女のことを考えていると本当に周りが見えなくなってしまうんですよね。 「新入生退場」 司会者の少し冷めた声が体育館中に響きわたり、新入生は一斉に立ち上がり退場していきました。 教室に戻り、自己紹介やプリントを配布したり、明日からの予定を確認したりして入学式初日は終わりました。 個人的にはとても内容の濃い1日だったなと思っています。 だけどまだこの1日は終わっていませんでした。 帰りのあいさつをして皆帰り支度をしているとき、突然教室の後ろのドアがバンッと音を鳴らして開きました。 人間というのは大きな音がするとなぜか、音の鳴った方を見てしまいます。 そんなわけでクラス全員が音の鳴った扉の方を一斉に見ました。 「たのもー!! ってそんな皆で視姦しないでよー」 そこには先ほど俺がヤンキー三人衆に襲われたときに助けてくれた、漁業用の網を背中に隠し持っている美少女が恥ずかしそうに立っていました。 「そんな見ないでよぅ、恥ずかしいよぅ」 美少女がこう言った瞬間、クラスの男子達の気持ちが一つになりました。 「かっわいいぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃ!!」 男子達が叫び出しました。あっ俺は叫んでないですよ?
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