1章 彼女を探して三千里~ストーカーではありません~

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桜が咲き誇る季節は春、四季のうち一番出会いがある季節と言っても過言はないでしょう。 春と言えば入学式やクラス替えなどがあり、新たな出会いの季節であります。 たとえば入学式の日に曲がり角でゴッツンコとか。 遅刻したら坂の下で出会っちゃったとか。 春休みに死にそうな吸血鬼に遭遇しちゃったよとか。さまざまな出会いがあります。 そういう俺も今日、入学式なわけです。 俺が入学する高校は御咲学園という中高一貫の学校で、一応県内では一番の進学校であります。 そんなレベルの高い御咲学園に学力レベル中の下である俺がなぜこの学校を受験したか。 それは中学3年の夏、ある女の子から一通の手紙をもらったことが一番大きな理由です。 その手紙の送り主は俺が幼稚園の頃からずっと好きな相手でもあります。 初恋が気がつけば高校生になっても続いてるわけです。 俺……なんて一途なんだろ? まぁ違う解釈をすれば、高校まで一度も告白するができなかったただのヘタレですが。 告白できる人はとてもすごいと思います。 でも今の俺はヘタレって言われても気にしません。 だってさ? 好きな人とまた同じ学校に通えるんですよ? そうしたら誰にでも優しい気持ちになれる気がしませんか? 例えば入学祝いで買ってもらった携帯をドブの中に投げ棄てられたとしても、快く許しちゃいますよ。 本当にやられたらぶちギレちゃいますが。 そして、気がつくとこれから俺が通う御咲学園が見えてきました。
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