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私「も………もう少しだから……もう少し出せば…たすかる…から……。」
そう言ってからしばらくその状態が続きました。
老婆の届くか届かないかでもがいている手の指先が
彼の首をツンツンとつつかれる度に、彼も私も緊張は増していきます。
首の皮一枚繋がった状態でのドライブ…
まさに…死のドライブです…。
どのくらいこの知らない道を走ったでしょうか…
だいぶ走ったはずなのに、まだ家も灯りも一つ無い山道は続きます…。
「うぅっ…」
彼がうなりました。
私はここだ!と思い、最後の力を振り絞って言いました
私「お…おねがい…もう少し…ガンバって……!!!」
そして彼はやってくれました!
スピードを上げてくれたのです!!!
そしてメーターには…
101キロ
これ…もう奇跡だよ…………。
しかし何はともあれ老婆より1キロこっちは早く走ってるんです。
逃げれるはずです!
すると、徐々に彼の首から老婆の手が離れていくではありませんか!!
1キロなので、1秒間に約28センチずつ離れていくわけです!
結構あっさりと離れていく事になるんですが、
私には凄く長く感じました…
その後、なんとかそのままのペースを保つ事ができ…
老婆も結構離した辺りで、
諦めたのか、私達を追いかけるのをやめ…
悔しかったのか、チッ!!と、ここまで舌打ちが聞こえんばかりに、じだんだ踏んでいるように見えました。
ソロソロ見えなくなった頃には身体の自由もきくようになり
緊張からも解放されました。
彼は老婆がいなくなったと確認するやいなや、
今までになかった軽快なハンドリングと猛スピードで
走り出しました。
………。
さっきの状況でそれやってよね…。
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