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彼は、こっそりナオキに耳打ちをする。
「なぁ、どうすればいいか、分かるか?」
困ったように、耳打ちする彼に、
「僕も、よくは分からないけど…、ちょっと地面を見て」
ナオキは、そっと囁くと、地面を見て、目を閉じた。
「上手く言えないけど、何か流れがあるんだ。それが、水の流れかな…と思う。ただ、僕だけじゃはっきりと分からないから、ユースケにも手伝って欲しいんだ」
「ん…。まあ、何とかやってみっか。要するに、地面の中にある、水の流れを見つけりゃいいんだろ?」
うなずくナオキに、彼も目を閉じ、大地の力を感じようとする。
少しづつ、彼に大地の力が、ゆっくりとした流れになって見えて来る。様々なモノが流れて行く。水の流れも、いくつもある。その中で、水の流れが一つだけ、輝いているのが、分かってきた。
「ナオキ、ここだろうと思う」
彼は、輝いている水の流れている、地面を指す。
「分かった。で、タケシ。僕は、どうすればいいの?」
「水の流れを、一旦止めてくれ」
「えっ…、そんな事して、大丈夫なの?」
「ああ。任せてくれ」
ナオキは、タケシの言葉に答えて、柄に手を掛けて、
「蒼冽、いくよ。水の流れ…、断つ!」
剣が鞘走り、彼の示した場所に、蒼冽を突き立てる。
それまで、井戸に流れていた水が、少しづつ減ってゆき、やがて流れが止まった。
タケシは、井戸の前に立ち、
「生命の水よ。今、ひとたびの眠りに付きたまへ。再び、我が戻るその時まで」
水は、透明なまま変わらずにいたが、ナオキだけは、水の変化に気がついていた。
それまで、命の力を持っていた水が、普通の水へと変わっていった。
「終わったな。さて、ナオキ。剣を抜いてくれ」
ナオキは、剣を抜くと、再び井戸に水が流れ始めた。
「さてと…。これで、俺のやるべき事は終わった」
一体何があったか、分からない二人に、タケシは、井戸に腰掛けて話す。
「この井戸の水が、生命の水と言うのを知っているのは、井戸の番人の一族と、医者の先生だけ。だから、先生には生命の水を必要な分だけ汲んでもらっている。
後は、井戸の番人が守って来た。
砂漠のオアシスには、水が必要だからな。
ところが、ブラック・オニキスが、この井戸が生命の水と気がついた。だから、一旦封印して、俺達がブラック・オニキスを倒すまで、普通の水にしたのさ」
「でも、タケシはよくわかったね。![image=355155802.jpg](https://img.estar.jp/public/user_upload/355155802.jpg?width=800&format=jpg)
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