46人が本棚に入れています
本棚に追加
/42ページ
僕は、水の力を持っているから、水の変化がわかったけど」
「そりゃそうだ。伊達に井戸の番人してる訳じゃない」
タケシは、井戸に刻まれた傷を示した。
「この井戸を狙う奴は、昔から絶えなくてね…。生命の水って知って、狙う奴も多かった。
だから、俺の一族は、その度に生命の水を一時的に封印して、守ってきたんだ」タケシの言葉には、井戸の番人としての、一族の誇りが込もっていた。
そんなタケシに二人は、感慨無量だった。
「あとは、先生に生命の水を任せて、旅立ちの準備だ」
ごく自然に、タケシを先頭に、三人が歩き出す。
新たなる、旅がはじまる。
タケシは、医者の先生に、事情を話して、生命の水を託すと二人に、
「次に目指すは、フロンティア・ワールドの中心。ありとあらゆる情報が集まる町。通称『風の町』だ」
二人とも?と、言う顔をするので、呆れるタケシ。
「あのなー。お前ら、グランド・ワンがどこにあるのか、知っているのか?」
そう言われて、ポンと手を叩く彼。
「そりゃ、そうだ。世界回ってりゃ、そのうち見つかるってモンじゃねぇからな」
タケシは、思いっきりため息をつくと、
「だと、思った。だからこそ、風の町に行って、情報を集める。ナオキ、もしかすると、お前の記憶に関する情報もあるかも知れんしな」
「うん」
ナオキは、いつもの様に、微笑みながらうなずく。
「でだ。風の町への近道は知っているが、一日砂漠越えがあるから、覚悟しとけよ」
「えー!砂漠越えが、あるのかよ…。もう、やだ」
彼のワガママに、
「仕方がないだろ。ここは砂漠に囲まれた町だ。砂漠越えが一日で済むから、我慢しろ。それに少しだけ、生命の水を分けて貰うし、旅支度もしっかりする。いつ戻れるか、分からないからな」
タケシの覚悟に、二人は改めて、この旅が重い事を感じる。特に彼は、自分の力を試したいと、故郷を出てきただけだったのが、こんな運命が待っているとは、思ってもいなかった。
が、後悔していない。
ナオキとタケシ。自分より強い奴と戦い、自分の思い上がりを知り、絶対に許せない敵を知って、共に倒す仲間に出会えた事を、彼は感謝していた。
「さ、支度を整えて、出発するぞ」
三人は、それぞれの想いを胸に、砂漠の町を後にした。
砂漠を越え、見えて来た町は、周囲を強固な壁に囲まれた町だった。
「えっ…。前に来た時とは、様子が違う。何があったんだ?」
タケシは、町の変わりように驚く。![image=355184501.jpg](https://img.estar.jp/public/user_upload/355184501.jpg?width=800&format=jpg)
![image=355184501.jpg](https://img.estar.jp/public/user_upload/355184501.jpg?width=800&format=jpg)
最初のコメントを投稿しよう!