本編

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町の入り口は、一ヶ所しかなく、そこも厚い扉に、閉ざされていた。 扉の上には、見張り台があって、警戒をしていた。 見張り台で、警戒していた男が、三人に気が付く。 「お前ら、この町に何の用だ。悪いが今は、余所者を入れることは出来ない」 と言うと、タケシが、 「ちょっと、待ってくれ。俺は砂漠の町で、井戸の番人をしているタケシと言う。何度か、この町に来ている。 だが、前にはこんな壁はなかったはずだが、何があった?」 男は、タケシの姿を確認すると、 「ちょっと、待ってくれ」 と、言い残し、見張りを変わって貰うと、どこかに行った。 「タケシ。前に来たって、なぜ?」 ナオキが、聞くと、「一つは、情報集め。一つは、食料調達。一番近い町が、ここだからな」 そんな二人の話など、彼は聞いてなかった。 戦い続けて来た彼は、その野性的な勘で、イヤな予感がしていたからだ。しかも、その予感は外れた事がない。 彼は、これを言うべきか悩んでいたが、その前に、見張り台に、さっきの男ともう一人、スラリとした、身なりのいい男が現れた。 その男が、三人を見ると、三人を囲むようにそよ風が吹き、 「大丈夫です。彼らに、敵意はありません。それに、砂漠の町の、タケシさんに間違いありませんよ」 男は見張りに、そう告げる。タケシは男の姿を見ると、 「おう!ヒロミか。一体何があったんだ?」 「すみません。タケシさん。今、この町は緊急事態なので…。 すぐに門を開けます」 ヒロミの指示を受けて、門が開かれる。が、三人が入るとすぐに、門は固く閉ざされた。 ヒロミが、見張り台にから降りて、三人を迎える。 「タケシさん、お久しぶりです」 「ああ、元気そうと言いたかったが、それどころじゃ、ないみたいだな」 「ええ…。ところで、連れの二人は?」 「こっちも、訳ありでね。旅に出る事になったんだが、一緒に旅をする仲間だ。ナオキと、ユースケだ」 「そうですか。 はじめまして。僕は、風の町の町長代理、ヒロミと言います。よろしく」 「ご丁寧に、ありがとう。僕はナオキ」 「で、俺が最強の男になる、ユースケだ。よろしくな」 ヒロミは、彼の挨拶に少し笑ったが、すぐに憂いの表情になった。 タケシは、ヒロミを心配して、 「何があった?町長代理って…」 「先ずは、僕の家に帰りましょう。 みなさん、砂漠越えの疲れも、あるでしょうし、これまでの、事情を説明します」image=355196214.jpg
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