46人が本棚に入れています
本棚に追加
/42ページ
町の入り口は、一ヶ所しかなく、そこも厚い扉に、閉ざされていた。
扉の上には、見張り台があって、警戒をしていた。
見張り台で、警戒していた男が、三人に気が付く。
「お前ら、この町に何の用だ。悪いが今は、余所者を入れることは出来ない」
と言うと、タケシが、
「ちょっと、待ってくれ。俺は砂漠の町で、井戸の番人をしているタケシと言う。何度か、この町に来ている。
だが、前にはこんな壁はなかったはずだが、何があった?」
男は、タケシの姿を確認すると、
「ちょっと、待ってくれ」
と、言い残し、見張りを変わって貰うと、どこかに行った。
「タケシ。前に来たって、なぜ?」
ナオキが、聞くと、「一つは、情報集め。一つは、食料調達。一番近い町が、ここだからな」
そんな二人の話など、彼は聞いてなかった。
戦い続けて来た彼は、その野性的な勘で、イヤな予感がしていたからだ。しかも、その予感は外れた事がない。
彼は、これを言うべきか悩んでいたが、その前に、見張り台に、さっきの男ともう一人、スラリとした、身なりのいい男が現れた。
その男が、三人を見ると、三人を囲むようにそよ風が吹き、
「大丈夫です。彼らに、敵意はありません。それに、砂漠の町の、タケシさんに間違いありませんよ」
男は見張りに、そう告げる。タケシは男の姿を見ると、
「おう!ヒロミか。一体何があったんだ?」
「すみません。タケシさん。今、この町は緊急事態なので…。
すぐに門を開けます」
ヒロミの指示を受けて、門が開かれる。が、三人が入るとすぐに、門は固く閉ざされた。
ヒロミが、見張り台にから降りて、三人を迎える。
「タケシさん、お久しぶりです」
「ああ、元気そうと言いたかったが、それどころじゃ、ないみたいだな」
「ええ…。ところで、連れの二人は?」
「こっちも、訳ありでね。旅に出る事になったんだが、一緒に旅をする仲間だ。ナオキと、ユースケだ」
「そうですか。
はじめまして。僕は、風の町の町長代理、ヒロミと言います。よろしく」
「ご丁寧に、ありがとう。僕はナオキ」
「で、俺が最強の男になる、ユースケだ。よろしくな」
ヒロミは、彼の挨拶に少し笑ったが、すぐに憂いの表情になった。
タケシは、ヒロミを心配して、
「何があった?町長代理って…」
「先ずは、僕の家に帰りましょう。
みなさん、砂漠越えの疲れも、あるでしょうし、これまでの、事情を説明します」![image=355196214.jpg](https://img.estar.jp/public/user_upload/355196214.jpg?width=800&format=jpg)
![image=355196214.jpg](https://img.estar.jp/public/user_upload/355196214.jpg?width=800&format=jpg)
最初のコメントを投稿しよう!