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「これは、異世界からの技術です。僕は、異世界からのよい技術をフロンティア・ワールドに、広めて行きたいのです」
「ヒロミ君って、凄いね」
ナオキがそう言うと、
「異世界の技術は、よい物だけではありません。だから最初は、風の町の住人は、異世界の知識を取り入れる事に、反対していました。でも、よい物は広めて行くことも必要です」ヒロミは、冷静に話を進める。
「異世界の行き過ぎた技術は、その世界を壊しました。
ですから、僕は異世界の技術を取り入れる時は、町のみんなと話し合い、これは必要かどうか決めています。
今は、少しずつですが、みんな理解してくれているようです」
不意に、ヒロミが止まる。そこは、山と言うより、なだらかな丘だった。
だが森は深く、人が滅多に、入らないであろうことは判る。
「ここです。この中腹に、洞窟があります」
全員に、緊張が走る。
ヒロミは、森の周りを見渡し、隙間を見つける。
「やはり、人が出入りする為に、新しい道が出来てますね。ここから行きましょう。ただし、何か罠が仕掛けてあるかもしれないので、慎重に登って下さい」
ヒロミを先頭に、黙って新しい山道を登る。
時折、人の手によって、木が傷付いていたり、倒されているのを見て、
「ひっでー。こんなんする事ねぇのに…。木には、罪はねぇのによ」
彼の、怒りの込もったつぶやき。それは全員同じ思いだった。
ヒロミは、不意に止まり、
「もうすぐ洞窟です。ここからは、音と気配を消して行きます」
「俺は、気配消すこと出来るけど、どうするんだ?」
彼が聞くと、ヒロミは、
「風の力を借ります」
そう言うと、ヒロミは両手で、手招きすると、柔らかい風が全員を包み込む。
「余り、長い時間は持ちませんが、これで皆さんの音と気配は消しました。ですが、姿は見えるので、気をつけて下さい」
準備を終え、登っていくと、洞窟の入り口が見えた。
入り口には、武装した男が二人、見張りをしていた。
「一人はユースケさん、もう一人はタケシさん、お願いします。
ナオキさんは、蒼冽が分かるといけないので、待って下さい」
ヒロミの指示に、ユースケとタケシが動き、あっという間に見張りは倒れた。
「さて、次の見張りが来る前に行きますが、その前に洞窟の中を探って見ます」
「それも、風の力か」
タケシが言うと、
「そうです。とは言え、風が届く範囲内までですから、余り宛にはしないで下さい」![image=356047174.jpg](https://img.estar.jp/public/user_upload/356047174.jpg?width=800&format=jpg)
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