本編

17/39

46人が本棚に入れています
本棚に追加
/42ページ
ヒロミが、手を靡かせると、風が動き洞窟の中に入って行き、 「だいたいですが、わかりました」 そう言うと、ヒロミは、地面に指で絵を描き始めた。 「ここが入り口で、少し入った所が広くなっています。 そこに、沢山の人の気配があったので、襲撃された時用の人達でしょう。 更に奥がありますが、そこまでは分かりませんでした。 が、恐らく父はそこにいると思います」 ヒロミからの、説明を受け、 「洞窟には、脇道とかないのか?」 タケシが聞くと、 「ないですね。 広場に出るまでは、戦いは不利です。ここからは、素早くでも、より慎重に行動して下さい」 ヒロミの説明に、三人ともうなずき、薄暗い洞窟の中に、ヒロミを先頭に入って行く。 足音を響かせないよう、ナオキは蒼冽が音を立てないよう、歩いて行く。 「もう少しで、広場です」 ヒロミが、小さな声で囁くが、ヒロミは右腕を出して、全員の進行を止めて、見えない所に、誘導する。 「どうやら、気付かれた見たいです。広場には、矢を持った人達が、待ち構えています。 僕が囮になります」 「おいおい、大丈夫なのか?囮なら俺がするぜ」 彼の申し出に、 「少しですが、風が吹き込んでます。力を借りますから、ご安心を。 ただ、一瞬だけです。後は、よろしくお願いします」 ヒロミは、そう言うと、広場の前の男達の前に立った。 容赦なく、矢がヒロミに飛び交うが、矢は、ヒロミの前で止まり、落ちていく。 矢が途切れ、次の準備をしている男達の隙を、見逃す三人ではない。 物陰から飛び出し、三人バラバラに飛んで、攻撃をする。 隙を突かれた男達は、あっという間に倒されるが、後ろから援軍がやってくる。その間、タケシが、疲れた様子のヒロミを安全な場所へ、移動させる。 「いい加減にしろ。頭数揃えりゃ、いいってもんじゃねぇぞ!」 「いえ、靴音からして対した人数ではありません。タケシさんと、ユースケさんで大丈夫です。 ナオキさんは、すみませんが、僕をガードして下さい。もう力が、使えません。あと、蒼冽があるのが、彼等にわかった様で、すみません。僕のせいで…」 ナオキは微笑んで、 「ううん。ヒロミ君のせいじゃないよ。 それに、色んな事もわかったし、危険も回避出来た。 今度は、僕が君を守るよ。 それに蒼冽は、絶対に渡さない」 ナオキは、ヒロミの前に剣に手を掛けて、立った。image=356048105.jpg
/42ページ

最初のコメントを投稿しよう!

46人が本棚に入れています
本棚に追加