本編

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ヒロミが、両開きの扉を開けると、そこには三人が見たことのない物があった。 「これは、異世界ではヨットと呼ばれる風で動く乗り物です。 グランド・ワンが眠る地を僕とこの町の有志で行こうと、作っていたのですが、皆さんと一緒に行こうと思いまして」 初めてみる乗り物に、三人はただ驚いていた。 「ヨットは本来ならこういう形ではなく、水の上を動く乗り物なのですが、グランド・ワンの眠る地がどんな所か、調べても分からないので、こんな形になりました」 大きな胴体に、白い帆が立ち、下には車輪が付いていた。 彼は、段々とイタズラ心をくすぐられた。 「これでも恰好いいけど」 彼は、乗り物をじっくりと見て、 「ちょっと、待ってろ」 と、彼はあっという間にどこかに行き、沢山の荷物を抱えて、帰ってきた。 「どこ、行ってたんだ?」 タケシが聞くと、 「まあね。シシッ。さてと、三人とも外に出て」 そう言うと、彼は三人を無理矢理、外に出すと、 「いいか?俺がいいって言うまで、覗くなよ。覗いたら、殴る」 彼は、そう言い残し、扉を閉めた。 呆気に取られた三人は、 「一体、何を、しているのでしょうか?」 「分からん。覗いたら殴る、何て言ったし、見ない方がいいと思うけど、ユースケの奴…。何を考えてるんだ?」 「さあ…。何にしろ、暴力反対」 三人が、色々と話していると、 「うっし。出来たぞー。みんな、入っていいぞ」 彼の呼ぶ声に、三人が中に入ると、黄色く塗られた乗り物と、白い帆は、赤・青・黄・緑に、縦に分けて塗られていた。 「どうだ!かっけいいべ?」 顔にまで、色々な色の染料を付けて、彼は、乗り物の上で、胸を貼った。 あまりにもの事に、呆気に取られていた三人だが、 「あの…、ユースケさん。これは…一体?」 ヒロミが、顔をひきつらせ聞くと、 「俺なりに、恰好よくしたんだけど、ダメか?」 それを聞いて、タケシは怒り心頭で、 「あのなー!こんな目立ってどうするんだ!この馬鹿!」 「ん、だと」 ヒラリと、乗り物から降りて、彼はタケシに詰め寄る。 「俺が恰好よくしたのに、馬鹿とはなんだよ」 「馬鹿だから、そう言っただけだ」 「てめえ!そういや、タケシにはこないだ負けたから、勝負しろ!今度は負けねぇ」 「俺に、勝てると思ってるのか?」 一触即発、ヒロミがどうするべきかを考えている間もなく、二人の顔の前に、蒼冽の光が走る。image=361943714.jpg
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