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「二人とも、止めなよ。こんな所で、争っている場合じゃないよ。それとも、水被りたい?」
ナオキは静かな口調だが、ナオキが本気と分かると、
「わ、分かった。俺が悪かったよ」
「俺も頭に血が登ってたよ。ごめん」
そう言うと二人は、顔を付き合わせて、
『ナオキの奴。怖えー』
『確かに。普段、静かな奴ほど、怒らせると怖いって言うからな。今後は止めとこうぜ』
と、コソコソと話す。
ナオキは、蒼冽を鞘に収めると、
「何、二人でコソコソ話してるの?」
と、ニッコリ笑って聞くと、
「な、何でもない」
「そう、仲良くしようって」
慌てて言い訳する、二人にナオキは、いつもの顔に戻った。
ほっとした、タケシは、ハタと聞く。
「おい、ヒロミ。ユースケが、乗り物をこんなにしたけど、大丈夫なのか?」
「大丈夫ですよ。第一、この乗り物自体、この世界にはない物ですから、姿が見えたら目立ちますよ」
そう説明するヒロミに、
「え?何か、仕掛けがあるのか?」
「工夫と、言って下さい。
この乗り物は、僕と見ないと姿が見えないようにしていますし、移動中の音も、聞こえないようにしています」
「へぇー」
タケシが、関心している側で、
「何だ、他の奴には、見えねぇのか。折角恰好良くしたのによ…」
と、彼がぼやく。まあまあと、彼の肩を叩くナオキ。
「とりあえず、染料が乾く間と、道具屋で入れ物が出来る間に、旅の準備をしましょう」
ヒロミの言葉に、彼も仕方なく従い、建物から出る。
歩きながら、ヒロミは、更に説明する。
「グランド・ワンの眠る地、僕は『封印の地』と呼びますが、その位置は分かりません。ですが、調べていく内に、封印の地から、この世界にはない、波長が流れているのは、解りましたので、それを乗り物で追って行きます」
「その波動は、直ぐに解るのか?」
タケシの疑問に、
「それも、大丈夫です。自動で波動を受けて、そこへ向かうように工夫してます」
「色々と工夫しているんだな」
「最も、試行錯誤ばかりで、やっと完成したのが、あの乗り物です」
「成る程ね…」
タケシとヒロミの会話に、聞き入る二人。最も、彼は半分以上、意味が分からなかったが。
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