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「確かに、封印の地の方向はこちらでいいはず。でも、何もないとは…」
「ええ、僕達もその最果てを、見に来たのですが、どんな所ですか?」
「どんな所も…、何もない所さ。ただ断崖絶壁があるだけ。そんな所見て、何が楽しいかね」
「あ、いえ。旅の土産話と思いまして、ありがとうございます」
そそくさと、ヒロミは話を聞き終わると、みんなの所へ行き、今聞いた話をする。
「何もない、断崖絶壁ね…」
久しぶりの食事をしながら、話すタケシ。
「でも間違いなく、封印の地には向かっているんだよね」
と、ナオキ。
「ええ。それは間違いないのですが…」
「俺を呼ぶ声も、同じ方から聞こえるし」
そう言うと、食事を止めて、ぼんやりするシンタロウ。
「とにかくだ。行って見ないと、分からねぇじゃないか。行ってみんべ」
と言う、お気楽な彼の言葉で、ひとまずは行ってみて、様子を見ようと言う事になり、それぞれの部屋に行き、休息を取った。
翌日、疲れも取れ、万全の体制で、乗り物に乗り込む。
乗り物は、スピードを上げて、真っ直ぐに断崖絶壁に向かって走ってゆく。
シンタロウは、乗り物に乗ってから、ずっと先端に立って動かない。
断崖絶壁の手前で、乗り物を止めて、全員降りる。
確かにそこは、下を見ても、果てしなく何もなかった。
が、変化が起こった。
それは、シンタロウが右手を差し出すと、何もない空間が、水面の様に、波打った。
「これは…」
ヒロミが、何かと調べようとすると、
「グランド・ワンを守る封印」
シンタロウが、はっきりとした口調で、ヒロミを止める。
「俺、全部思い出したよ。俺は、世界の中でも数少ない、ゲートキーパーの一人。グランド・ワンに呼ばれて、ここに来たんだ」
「ゲートキーパー?」
「封印の鍵を持つもの。グランド・ワンはブラック・オニキスが目覚め始めたのを感じて、ブラック・オニキスを倒せる力あるものを、俺に集めて、ここに連れて来るように、言われたんだ。でも、それに気付いたブラック・オニキスが俺の記憶を消して、俺の力を奪おうとした。記憶は無くなったけど、何とか逃げ出して、今、やっと役割が果たせるよ」
そう言うと、シンタロウは両手を差し出して、
「待たせたな、グランド・ワン。約束は確かに守ったよ。だから、封印を解くよ」
シンタロウが、両手を広げると、そこには広い大地が広がっていた。![image=369217930.jpg](https://img.estar.jp/public/user_upload/369217930.jpg?width=800&format=jpg)
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