本編

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その姿は、彼の心に、始めて感じる感情を、焼き付けた。 それは、恐怖。 彼は出来れば、その場から、逃げたくなった。だが、それよりも、怒りの感情が彼を包んだ。 こいつがいるから、悲しむ人がいる。 こいつがいるから、全てが無くなった。 なら、直ぐに倒すまで! 彼は、怒りをそのまま蹴りに乗せ、一直線で貫いたと思いきや、その黒い体から通り抜け、彼は反対方向に着地して、直ぐにみんなのいる所に戻る。 「一体、どうなってるんだ?」 風で、黒い巨人を調べていたヒロミが、 「よくは、分かりませんが、実体化しているのは、髪の毛の様に見える触手部分と、足の一部です。だから、移動出来たのでしょう。 しかし、触手部分の大半はシンタロウさんが消滅してくれましたし、あのままだと、僕達も攻撃出来ませんが、奴も攻撃出来ない筈…」 と、みんなに説明していると、黒い光が巨人の中から放たれ、それは巨人を包み、真っ黒な鎧を全身に身をまとった姿になった。 「今度は、何だ!」 彼は、少し動揺していた。だが、直ぐに冷静になり、ヒロミに判断を仰ぐ。 「鎧を、実体化しましたね。何かを守る為でしょうか…。 とにかく、これで攻撃出来ますが、奴も攻撃出来ます。きます!散開!」 ヒロミの合図に、全員別々に飛び、そこには、巨人の右腕と地面にひび割れが、出来ていた。 「一撃食らったら、おしまいです。ただ、攻撃自体早くありません。皆さんの攻撃の方が早いです」 ヒロミの分析で、それぞれの場所で、攻撃するが、全て鎧に弾かれびくともしない。 彼は、羽を一枚にして、何度も飛ばすが、全くダメージが与えられない。 同様に、タケシのウイップも、ナオキの蒼冽の攻撃も、全く効いていない。彼は、羽を蹴り、地面に落とすと、 「ヒロミ、何か手立てはないのか?」 軽々と巨人の攻撃を避けつつ聞くと、 「有効か、わかりませんが、やってみてみましょう。 タケシさん、奴にウイップを巻き付けて、火を全身に放って下さい。その後直ぐに、ナオキさんが、水を奴の全身に被せて下さい。 ユースケさんは、二人が攻撃している間、奴を惹き付けて下さい」 「分かった!」 それぞれ、攻撃体制につく。 彼が、巨人を惹き付ける様に、 「よー!こっちだ、こっち。さっきから当たんねーぞ」 と、挑発するように動く。 巨人は、それにのったようで、彼の方に攻撃する。image=369448417.jpg
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