本編

33/39

46人が本棚に入れています
本棚に追加
/42ページ
その隙を付いて、タケシのウイップが巨人に巻き付き、火が巨人の全身に回る。ウイップが離れ、素早くナオキが水を巨人の全身に放つ。 すると、巨人の鎧にヒビが入り、少しづつ広がっていく。 「上手く行った、みたいですね」 と、ヒロミが安堵の息を付く。 「どうなっているんだ?」 訳の分からない、彼が聞くと、 「簡単に言いますが、急激に温められた物を急激に冷やすと、どんなに固い物でも、脆くなるんです」 「成る程ね。とにかく、今がチャンスってね」 彼はそう言うと、羽を八枚に分けて放つ。羽は奴の鎧に当たると、粉々に打ち砕き、彼の手元に戻ってくる。 「グオォォー!」 奴の、叫び声が響く。 「やったのか?」 タケシの喜ぶ声を遮って、 「残念ながら、鎧を壊しただけです。奴の弱点を付かなければ…」 ヒロミの冷静な分析に、ガッカリするタケシ。 奴がまとっていた鎧は砕け、また黒い巨人が姿を表す。 「また鎧を作られたら厄介ですが、このままでは攻撃出来ませんし…、どうすれば」 と、説明するヒロミの目に、チラッと奴の全身から、黒い巨人を形作る黒い物が、奴の腹にある黒い球体から放たれているのが見えた。 「皆さん、腹を狙って下さい。あれがブラック・オニキスの本体と思います」 ヒロミの解析に一斉に、奴の腹に攻撃が入るが、一向にらちが開かない。 「さっきの攻撃は、有効じゃ?」 と、ナオキが聞くが、 「無効ではないと思いますが、難しいと思います。腹の球体は、何か構造が違うみたいで」 ナオキは、納得して攻撃しようとするが、急に蒼冽が細かい振動が走る。 「ど、どうしたの。蒼冽」 蒼冽は、振動が大きくなり、その振動とともに辺りの空気が震え、次第にバチバチと電気が発生して行く。その電気が、鮮やかに青く大きくなり、それは稲妻となって、奴の全身に絡みつく。 「そうれつ…。蒼い稲妻。これが君の、本来の力なんだ。そして僕は…」 ナオキは、何かを思い出した様に、一瞬動きが止まる。そこに、青い稲妻の隙間から、黒い光がナオキに放たれる。とっさに彼が、ナオキをその場から離す。 「戦闘中だぞ。何、ぼーっとしているんだ!」 彼の一喝に、 「ご、ごめん。今、全部の記憶が戻ったから」 「本当か!よかったな…。ナオキ」 「うん。さあ、ブラック・オニキスの弱点はあの球体。あれに強い衝撃を加えたら、壊れるはずだよ」image=369449183.jpg
/42ページ

最初のコメントを投稿しよう!

46人が本棚に入れています
本棚に追加