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その隙を付いて、タケシのウイップが巨人に巻き付き、火が巨人の全身に回る。ウイップが離れ、素早くナオキが水を巨人の全身に放つ。
すると、巨人の鎧にヒビが入り、少しづつ広がっていく。
「上手く行った、みたいですね」
と、ヒロミが安堵の息を付く。
「どうなっているんだ?」
訳の分からない、彼が聞くと、
「簡単に言いますが、急激に温められた物を急激に冷やすと、どんなに固い物でも、脆くなるんです」
「成る程ね。とにかく、今がチャンスってね」
彼はそう言うと、羽を八枚に分けて放つ。羽は奴の鎧に当たると、粉々に打ち砕き、彼の手元に戻ってくる。
「グオォォー!」
奴の、叫び声が響く。
「やったのか?」
タケシの喜ぶ声を遮って、
「残念ながら、鎧を壊しただけです。奴の弱点を付かなければ…」
ヒロミの冷静な分析に、ガッカリするタケシ。
奴がまとっていた鎧は砕け、また黒い巨人が姿を表す。
「また鎧を作られたら厄介ですが、このままでは攻撃出来ませんし…、どうすれば」
と、説明するヒロミの目に、チラッと奴の全身から、黒い巨人を形作る黒い物が、奴の腹にある黒い球体から放たれているのが見えた。
「皆さん、腹を狙って下さい。あれがブラック・オニキスの本体と思います」
ヒロミの解析に一斉に、奴の腹に攻撃が入るが、一向にらちが開かない。
「さっきの攻撃は、有効じゃ?」
と、ナオキが聞くが、
「無効ではないと思いますが、難しいと思います。腹の球体は、何か構造が違うみたいで」
ナオキは、納得して攻撃しようとするが、急に蒼冽が細かい振動が走る。
「ど、どうしたの。蒼冽」
蒼冽は、振動が大きくなり、その振動とともに辺りの空気が震え、次第にバチバチと電気が発生して行く。その電気が、鮮やかに青く大きくなり、それは稲妻となって、奴の全身に絡みつく。
「そうれつ…。蒼い稲妻。これが君の、本来の力なんだ。そして僕は…」
ナオキは、何かを思い出した様に、一瞬動きが止まる。そこに、青い稲妻の隙間から、黒い光がナオキに放たれる。とっさに彼が、ナオキをその場から離す。
「戦闘中だぞ。何、ぼーっとしているんだ!」
彼の一喝に、
「ご、ごめん。今、全部の記憶が戻ったから」
「本当か!よかったな…。ナオキ」
「うん。さあ、ブラック・オニキスの弱点はあの球体。あれに強い衝撃を加えたら、壊れるはずだよ」![image=369449183.jpg](https://img.estar.jp/public/user_upload/369449183.jpg?width=800&format=jpg)
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