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「でも、さっきからやっているけど、ヒビ一つ入らねぇよ」タケシとヒロミが、何事かとあつまるが、ナオキの記憶がよみがえったのを喜んだ。
「そこで、みんなに相談だけど」
奴は、青い稲妻に全身を絡め取られ、一切動けない。
相談を終えた全員が、ナオキの作戦に賛成して、攻撃に出る。
蒼冽をウイップに巻き付け、球体に放つ。その勢いを増すために、風が力を加える。蒼冽は真っ直ぐに、奴の腹の球体に突き刺さる。
奴の声にならない、うめき声が響く。が、それ以上は変化がない。
黒い巨人は、狂った様に暴れようとするが、青い稲妻が全身を縛りつけて、動けない。
「あと、もう一撃なんだけど」
と、言うナオキに合わせるかの様に、彼が奴の側に行き、少し深呼吸をして、右足を蒼冽に合わせた。
「食らえ!俺の渾身の一撃!」
一瞬、彼の右足が震えたと思いきや、それは、蒼冽を伝わり、奴の球体にヒビが入って行き、やがてヒビが砂になって消えて行く。
それは全身に回ってゆき、サラサラと砂になって消えて行く。
青い稲妻は消えて、砂になって黒い巨人は、消えて行った。後にカランと音を立て、蒼冽が地面に落ちた。
「やった…のか…?」
彼が信じられない様に、声を上げるが、そこには蒼冽しか残っていなかった。
ナオキは、蒼冽を一振りして、鞘に収めた。
「凄いね、ユースケ。蒼冽には、ヒビ一つ入ってない。それなのに、ブラック・オニキスを倒したのはどうやったの」
「ああ、それか。あれは、人質をとって盾にしている、卑怯な奴がいるだろ。人質に傷一つ付けずに、助ける技を考えて出来たのがあの技さ。でも、未完成だったから内心、ヒヤヒヤものだったんだ」
「でも、それでブラック・オニキスは倒したよ。凄いよ」
「そうか…」
少し照れる彼。
「さて、ナオキさんの記憶も戻りましたし、ブラック・オニキスも倒しました。後は、グランド・ワンに会いましょう」
そうヒロミが言うと、
「そうだな。その為にここに来たんだからな」
タケシが、賛同してみんなそれに従う。
荒野を歩いている内に、柔らかい光が光っている所が見えて、近づくと優しい光に包まれた、球体が宙に浮いていた。
「これが、グランド・ワン?」
彼が近寄ろうとすると、柔らかい光が全員を包む。
「よく来ました。お待ちしていました」
柔らかな声、いや声が頭の中で響く。![image=369449964.jpg](https://img.estar.jp/public/user_upload/369449964.jpg?width=800&format=jpg)
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