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「ブラック・オニキスを、倒してくれた事に感謝します。貴方達の願いを叶えましょう」
そっとタケシは、懐に手をやった。そして、大切に帽子を取り出して、
「俺の願いは、一つだ。シンタロウを返してくれ。大切な仲間なんだ。頼む!」
「分かりました。シンタロウをここに」
ぼんやりと小さな光が差したかと、それは大きくなり、シンタロウの姿が、ゆっくりと現れた。そして、シンタロウは、戻ってきた。
「あれ?ここは?俺、寒い所にいたんじゃ…」
戸惑うシンタロウ。
「よかった。シンタロウ…。お前は戻って来たんだ」
戸惑いながら、少し寒そうにしているシンタロウに、
「ほら、暖めてやるよ」
タケシが、シンタロウの右手を持って、弱く火の力を注ぐ。
「暖かい…。タケシさん」
「終わったら、メシ食べさせてやるからな」
うなずきながら、自然に涙が溢れるシンタロウ。
「あれ?おかしいな…。うれしいのに涙が…」
そんなシンタロウに帽子を被せて、喜ぶタケシ。みんなも二人のやり取りを暖かく見守る。
そして、意を決した様にナオキが、
「次は、僕の番でいい?」
みんなうなずくと、ナオキはグランド・ワンの前に立った。
「グランド・ワン。ブラック・オニキスとの戦いは終わった。僕の仲間を…。いや、僕の町の人々を返して」
「もう、皆さん戻っていますよ」
「そうですか。ありがとうございます。
そして、蒼冽をお返しします。もう僕には必要ありません」
「それは、蒼冽が決める事です」
「蒼冽が…」
ナオキは、柄に手をやると、バチっと青い稲妻が走り、それは優しくナオキを守る様に包み、消えて行った。
「ありがとう、蒼冽。いつまでも一緒だよ」
ナオキがグランド・ワンから離れ、タケシとシンタロウの元へ行く。
「シンタロウ君、よく、戻って来てくれたね」
「ナオキさんも、記憶が戻ったみたいで」
「うん。そうだよ。僕は、この封印の地から、もっと遠くの町、僕の町の方が最果ての町かも知れないね。その町にいたんだ」
「ここよりも、遠い町?」
タケシが驚いて、聞こうとするが、
「あの~、ナオキさんの記憶も知りたいですが、僕の願いをグランド・ワンに聞いて貰いたいのですが…」
ヒロミが申し訳なさそうに言うと、
「そうだな。行って願いを叶えて貰えばいい」
タケシが、そう言うと、ヒロミはグランド・ワンの所へ行く。ふと振り返って、![image=384845781.jpg](https://img.estar.jp/public/user_upload/384845781.jpg?width=800&format=jpg)
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