本編

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「あ、俺も名前言っとく。俺はユースケ。俺がメシ食っている間に、ナオキ逃げんなよ」 「僕は、逃げないよ。お腹すいているなら、僕がお世話になっている、宿屋に案内するよ」 「へ?ナオキはこの町の人間じゃねぇの?」 「まあ、色々とね…」 二人は話ながら、宿屋に入った。彼は、宿屋に入ると、 「頼むー!メシ…」 と言って、カウンターに座って、ぐったりしてしまった。 ナオキは、ユースケの隣に座り、 「すみません。ユースケに、早くご飯作って下さい」 宿屋の主人は、最初は驚いていたが、すぐに食事の用意をして、彼の前に出す。 「やった!うまそう。いただきます!」 あっという間に、彼は3人前を食べて、呆れる主人とナオキ。彼は、やっと落ち着いたらしく、 「ふ―、うまかった。ごちそうさま。さてと、ナオキ。行くか」 「分かったよ。あんまり、その気にはなれないけど、ユースケが戦いたいと言うなら、僕も全力で行くよ」 「うし。じゃ、あんまり、人の迷惑のならない所でな」 「うん」 二人は宿屋を出て、町外れの広場に行った。 それまで、連れだって歩いていた二人は、広場に入ると、お互いに距離を取る。 広場に付いた時から、二人の戦いは、はじまっていた。 彼が、動く。 彼は姿を消し、ナオキは、一瞬戸惑う。その刹那、彼は蹴りを出すが、それをナオキは直感で、避ける。彼は、姿を見せないまま、 「やっぱ、スゲーや。俺の一撃避けたの、ナオキが初めてだ」 「勘だよ。ユースケも凄いね。全く姿が見えないなんて。でも、僕は負けないよ」 ナオキは、剣に手をかけた。 彼は、距離をとっていたが、ナオキが剣を抜いたのも解らない程、その速さにはついていけず、剣から放つ風の力の威力で、彼は咄嗟に防御する。 「クッ」 それは、彼にとって初めての反撃だった。 だが、それは彼の心を、より強く動かした。 彼は、ナオキの前に姿を見せた。 風の力で、ボロボロになっていたが、顔は笑顔だった。 「世界は広い。強く奴が、一杯いる。ナオキ、お前にぜってー勝ってやる」 「僕も、負けない」 ナオキは、剣を鞘に収める。その事に彼は、 『成る程…。ああやって、鞘から剣を抜いた速さと、風の力で敵を倒すって事か。なら、剣を抜いたら、後は無防備になる。それを狙うしかない』image=355406922.jpg
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