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彼は、少しだけ考えて、すぐにナオキの前から姿を消した。
ナオキは、今度は驚きもせず、剣に手をかけると同時に、剣を抜いた。
彼は、ナオキが剣に手をかけた瞬間に、とんでもない行動に出ていた。それは、ナオキの真下に滑りこみ、剣を抜くと同時に地面から、拳を振り上げる。
とった!と、彼は一瞬喜んだが、ナオキは、剣を抜いたまま、それを避けたが、拳圧によるかまいたちは避け切れなかった。だが、ナオキは、
「やるね。でも、甘いよ。僕の力は、こんなのじゃないよ」
と、言うと、剣から水の固まりが吹き出し、彼を襲う。
彼は、地面を転がって避けようとするが、水の固まりは、容赦なく、彼を叩きつける。
「グッ…」
その圧力に、彼の体中に、痛みが走る。
水は消え、ナオキは剣を鞘に収めた。
彼は、全身に痛みが走りながら、何とかナオキの前に立ち上がった。
彼は、口の中を切ったらしく、プッと血を吐き、
「まだだ…、まだ俺は戦える」
「もう…。無理だよ、ユースケ。僕はこれ以上、君と戦いたくない」
「俺は、ここで終われねぇ。ちゃんと、決着つけようぜ」
「全く…。もう少し頭冷やさないと、分からないかな…」
ナオキが再び、動こうとすると、彼はナオキの前に立ち上がり、背中に無数の矢を受けていた。
彼は、自分達が戦っている間に、囲まれているのに気付き、とっさにナオキをかばった。
囲んでいるのは、さっき、ナオキの剣を奪おうとして、二人に反撃を受けた男達だった。全員、弓矢で武装していた。
「さっきは油断したが、今度は違う。大人しく、その剣を渡せ。さもないと」
男の言葉は、彼の気合いの声で、遮られた。
背中に刺さっていた矢が、気合いと共に抜けたが、痛みは消えなかった。
だが彼は、
「てめえら、卑怯だ!何の目的で、ナオキの大事な剣を奪おうとする!」
「ブラック・オニキス様が、その剣を所望だ」
「何だ?そいつ」
「偉大なるお方だ。お前には関係ない」
「誰だか、分かんねぇけど、ナオキの大事な剣を奪おうとする奴は、俺が許さねえ…」
彼は、そう言うと意識を失った。
気がつくと、彼はベッドに横になっていた。
痛みは減っていたので、起き上がろうとするが、
「まだ、動かないで」
と、心配そうに、椅子に座っていたナオキが声をかけた。
「大丈夫か?」
「僕は大丈夫。剣も無事。それより、ユースケの方が…」
「何、平気さ。」![image=354745596.jpg](https://img.estar.jp/public/user_upload/354745596.jpg?width=800&format=jpg)
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