第1象「移動、盲目、猜疑」

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そして今その一大イベントが行われようとしている。 「それでは、これからテストを一斉に返却していこうと思う。 では開始するぞ。」 そう言って先生は、持ってきた袋の中に手を入れてテスト用紙を取り出そうとする。 そのまましばらく時間がたった後・・・ おかしい・・・ どうなったかというと今だに先生は、袋の中にあるはずのテスト用紙を探している。 どうしたのだろう? ようやく先生は作業をストップした。今の先生を色で表現するなら断然青だろう。 「すまない テスト用紙が入っていなかった 少し待っていてくれ」 と言って教室を飛び出していった。よほど急いでいたがまさかテスト用紙を忘れたという事はないだろう。これだけ重要なイベントにそんなミスをしたら、クビが落とされかねない。 俺はその時点ではまだ何も分かってはいないし予感もしなかった。 そして、周りの生徒からは話し声がちらほら聞こえてくる。内容は、テスト用紙が返ってこない事についてだ。今のところは、先生一人の責任にされているだろう。可哀相と言わざるえない。 やがて、先生は戻ってきた。少し汗をかいている。ただ事ではないようだな。 「緊急事態だ どうやら学校中のテスト用紙が消滅してしまったらしい。 他の教室でも同じ事態が起こっている」 「なっΣ」 俺は思わす声を出す程、驚いてしまった。こんな事って・・・。 ありえない事だ。 確かテストの保管はかなり厳重でそれでもテストがなくなってしまうなんて世界のセキュリティ機能を疑う。 それほど大事にされている事でもあるが。 しかし、これは何かが違う。 そんな違和感を俺の第6感(仮)が感じ取っているみたいだ。 一体なんなのだろう?
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