第1象「移動、盲目、猜疑」

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そして時は、学校の放課後になっていた。 怪研から自分の教室に戻ってくると、もうほとんどの生徒が帰っている状態だった。 そこには見慣れたクラスメートの姿が二人存在していた。 「帰ってきたね。 コウ」 その一人は、俺が来るなり声をかけてくる。 そいつは、俺の同級生である高宮 学人(たかみや がくと)だ。 俺の親友でよくつるむ奴の1人だな。 とにかく良い奴で俺は気に入ってる。 頭が結構切れるのが特徴だ。 「ところでコウは、一体どこに行っていたの? SHRが終わった後、すぐに出ていくから何事かと思ったよ?」 「ちょっとな・・・ 怪研の方に行ってた」 「あの奇妙な部活だね。 今日はテストが無くなるという大事件が起こったから行ってきたのかい?」 と高宮は最初から分かっていたような口振りで俺の目的を言い当ててくる。 「そうだ。 お前だってあの事には不服だろ?」 「そうだね・・・ 何せ今回のテストは、かなり力を入れてきたから」 それを言った後、高宮は少し俯いていた。 いつもより少し元気がない。 あいつもショックだったのが見て取れる。 「まあいいさ。 いずれは、解決するはずだ。 俺達は、今を惰性に過ごしていればいい」 と俺は、少し励まし的な言葉をかけておいた。 高宮は、かなり立ち直りが早い方だが少しは励ましておかないと面倒な事になる気がするし。 無駄な気もするが・・・ 「まあいい。それより帰るか」 と言って高宮は、かばんに必要な物を詰める作業を始めた。 すると高宮はいつもより念入りにカバンの中をあさりはじめた。 そして気が付いたようにその作業を中断する。 そのまま高宮は、周りの様々な所を探し始めた。 「ん? どうした?」 「それが・・・」 高宮の話によると筆記用具や参考書等がごっそりなくなってしまっているらしい。 おかしい・・・いじめか? 仕方なく俺も手伝ってやるのだがなかなか見つからない。 その時、何かの不穏な気配がして俺は残っているもう一人の生徒を見た。
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