第1象「移動、盲目、猜疑」

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その生徒は、名前を海道心美(かいどうこころみ)という。 外見だけで判断するとはっきり言って地味な女子だ。 長髪なのが手伝ってか、かなり重たい感じになっている。 俺的にはあまり会話をしたことがないからはっきりとは言えないが外見からは暗いイメージが付きまとってしまう。 近寄りがたい存在になるのも無理はないだろう。 何で視線をその生徒に移したかと言うと海道が少し笑っていたような気がするからだ。 まるで物を無くした高宮を嘲笑うかのように。 そして、その後すぐに海道はかばんを手に取り、早々と教室を出て行った。 なんでだろう? 何であいつは、笑っていたのだろうか? ~俺~ 俺は、夢を見た。 目の前にいる生徒達が次々と姿を消していってしまうのだ。 そんな光景はかなり奇妙に思えた。 どんなに走って近づこうとしても消えていく生徒との距離を詰める事ができない。 そして背後には黒い影。 暗い・・・気持ち悪い感じだ。 これからくる感情は、猜疑である。 その感情は、人間に対して畏怖を持っているに等しいモノ。 ささいな事で生じてしまう恐ろしいものだ。 人はそれを勘違いという事もあるらしい。 「クッ!」 と俺は、あまりの寝心地の悪さに飛び起きてしまった。 朝から勘弁してもらいたいものだ。 俺はすかさず時計を見た。 もう起きる時間になっていた。 さっさと起きた方がよさそうだ。 そして、俺は学校に向かった。 舞台は、教室の中に移り変わる。 「昨日のテストが無くなってしまい、あいにくバックアップデータも一緒になくなってしまったようだ。 このまま事態が解決しない限りには、テストの結果自体が迷宮入りになることも否定はできないな。 ハハハハハ。」 こんな時に笑えないジョークを・・・ もしかしたらKYじゃないのかこの先生。 一回清水の舞台から飛び降りてもらいたいものだ。 この時になって俺は、異変に気が付いた。 高宮がいないのだ。 席が空席になっている。 あいつは、遅れた事なんて一度もないし、不自然過ぎる。 まさか・・・。 嫌な予感がした。 まずい! その後、学校を終えた俺は冴島の元へ走った。
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