-第一話- バ ス

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午後7時。 米崎は目覚ましの音で目を覚ます。8時に家を出れば間に合う。ノソノソと洗面所で歯を磨く。女性の朝みたいにやる事が多い訳でも無いのにいつも出勤時間ギリギリになってしまうのだ。このグズな所が店長にガミガミと怒られる理由のひとつである。でも本人はわかっていない。 「あぁもうこんな時間かよ…いつも時間が無くなるなぁ。サイフと定期と携帯…よし、持ったぞ。」 米崎は慌て家を飛び出した。何とかバスに間に合い、時間ギリギリに店に着くとなだれ込む様に従業員控え室に入った。 「8:29分、ギリギリセーフ。」 と言いながらタイムカードを押した。 そして自分のロッカーで制服に着替え様とした時、ポケットの中に違和感が…昨日の巻物だった。 「ああ、昨日の巻物か。確か100円を2枚ポケットに入れとけって書いてたなぁ。まあ、マジナイがわりに入れとくか。」 米崎はサイフから200円を出しポケットに押し込んだ。それから制服のズボンと履き替え準備万端で店のホールへと向かった。 いつも通り、注文を聞き間違えたり、グラスを落として割ったり、お釣りを間違えたりで店長の小言の嵐だった。
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