-第一話- バ ス

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午前6時過ぎ。 昨日と同じ様にトボトボと歩いてバス停に向かった。しばらくするとバスが来て乗り込んだ。するといつもは誰も乗っていないバスに今日は小柄で髪の美しい女性が一番後ろのロングシートに座っていた。 「あっ、座られてる…仕方ないなぁ。」 ブツブツ小声で文句を言いながら一番前の席に腰を下ろした。そしてバスはしばらく走った。店から5つ目のバス停で降りるボタンが押された。 ″ピンポーン!″ もちろんさっき後ろに座っていた女性が押したのである。米崎以外に彼女しかいないのだから。バスがゆっくりバス停に停まると彼女が料金を払う所でカバンの中をゴソゴソ探し回っている。かなり焦っている様だ。 「あの…すみません運転手さん。お財布をなくしたみたいなんですけど…どうしたらイイでしょうか?」 「はぁ?どうしたらって言われても困りますよ。コッチは時間通り走らせなきゃならないんでねぇ。ココでモタモタしてられないし…200円どこにも無いの?」 彼女も運転手さんも困り果てている。 「あの…良かったどうぞ。」 サッとポケットから200円を取り出し彼女に渡した。
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