クラスメイトを迎え撃つのか

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「ばっか、おま、そこはあれだろ!心臓ドキドキして恋の始まりを自覚する場面だろ!」 「なんでそうなる」 休み時間、いつもつるんでる仲間のひとりとたわいもない会話をしながらキャンパス内を歩く。目指すは水とお茶が飲み放題の楽園、学生食堂だ。 話題はさっきからずっと、今朝の一連の出来事、というかまぁ俺と早瀬の奇妙なやりとり一点に絞られていた。 「なんでってお前!早瀬っつったら、よその学部でもファンが多い超ウルトラ級の美人だぞ!?それともお前、まさか人に言うのも憚られるようなアレな性癖の持ち主とか?」 「違ぇよばーか。まぁよ、確かに美人なのは認めるけど、あのくらいで…小中学生じゃあるまいし…ってかうちの妹の方がずっと可愛いしな。」 「出たよシスコン…」 「何度も言うが俺のはシスコンじゃなくて、ただ純粋に…」 大きくため息をつく友人に、反論しようとした矢先だった。 視界の端に早瀬の黒髪が映って、思わずひかれるように振り向いた。 「北村くん」 早瀬の声が俺の名前を呼ぶのは、なんだか不思議な感覚だった。 「今日、お昼から講義ないよね?ちょっと付き合ってほしいんだけど…」 いいかしら、と小首を傾げた早瀬の雰囲気は朝のそれとはまるで違っていた。 「別に…いいけど」 「よかった!じゃあせっかくだし、ランチ、一緒に食べましょう?よかったらみんなで…」 「あ、俺ちょっと昼休みゼミの用事があるから、悪い!また今度!」 「ゼミ?」 俺とやつとは同じゼミだ。 そんな用事あったかときこうとして、目が合った。 ウインクされた。 「………」 「そう、残念。じゃあ仕方ないから今日はふたりで食べましょう。12:00に学食の入り口で待ってるわ。遅れないでね。」 それだけ言うと、早瀬はくるりと踵を返し、軽やかな足取りで校内に消えていった。 「うまくやれよ、鋏介!」 「なにをだ」 やたらと楽しそうな友人をよそに、俺は会話の弾みそうにない早瀬とのランチタイムを想像して盛大にため息をついた。
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