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そして、約束の昼休み。
少し早めに来てみたら、早瀬はすでに入り口で待っていた。
「あら、思ったより早かったのね」
俺に気づくなりクスリと笑う。朝と同じ、早瀬だ。
「えっと…とりあえず、中で食う?」
視線を合わせるのもなんだか気まずくて不自然に見えない程度に目をそらし、食堂の方を指差す。うちの大学はカフェテリア制で屋外にも洒落たテラスが設けてあり、女子学生やカップルがよくそこでたむろしてる。一匹狼の早瀬がテラスで食事をしているイメージが沸かなくて、ほとんど無意識に屋内を指したのであって他意はない。他意はないが、なんとなく気まずかった。
「そうね、天気がいいし、テラスに行きましょう?」
「あぁ…わかった」
早瀬がニコリと笑う。
2回目ともなれば、いや正味3回目だが、もう嫌でもわかった。
早瀬はさっき明らかに猫を被っていたのだ。
さっきというか、今までずっとだ。今朝俺とあのやり取りをするまでずっとそうだったのだ。
確信できた。
「日替わりでいいわ。私席とっとくから、頼んできてくれる?」
その言葉にはもはや頷くしか選択肢はなかった。
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