始まりの夜

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―草木も眠る丑三つ時、というのが一体何時を指すのかはよく知らないが、そんな表現がよく似合いそうな頃。 静まり返った商店街を抜け、宿に向かってふらつきながらも歩を進める黒髪黒目の長身痩躯な昼寝王、ライナ・リュートは、必死に睡魔と戦っていた。 「うぁー眠ぃ…人間の限界を超越した気がする…」 彼がこの道を通るのは二週間ぶりだ。 二週間前に、同じ道を逆方向に歩いて以来。ついでに、ベッドで安眠どころか休息をとるのも二週間ぶりだったりする。
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