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父がリビングに入る。母は父の前に立ち、うつむきながら
「おかえり…。」
と言っていた。ごめんなさい、とも言っていたような気もする。
「そんなこと言って許されると思ってるの?」
父が言う。いつもとは違う両親。空気が重い。見てはいけないと思いながらも見てしまう。子供の好奇心は恐ろしい。
「携帯折ってもいいよね?」
「…。」
父は無理矢理母から携帯を奪う。ボキッと携帯が折れる音がする。鉄の塊は2つと細かい部品となって床に落ちる。
父はその後、風呂に向かう。
母はその後、床に落ちた鉄を眺めている。泣いているのかはわからない。
私には今の母が親には見えない。知らない女性だ。可哀想とは思うが、救うことはできない。
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