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ウルアは渋い顔のまま、深くため息をついた。
「んじゃ、早く行こうぜ。嫌なことはさっさと終わらせるのが得策だ」
そう言ってから、ちょっとしたいたずらを思いつき、ウルアの頭にのっかっている帽子をかすめ取った。
ウルアは突然の出来事にうまく対処仕切れていなかったが、トワルの手にある自分の帽子を見ると、慌てて取り返そうと俺の手めがけて走ってきた。
あともう少しでウルアの手が帽子に届く、という所で帽子を上に上げる。
「んなっ」
「残念!」
思わず楽しくなって、満面の笑みになってそう言った。
ウルアはまだ俺の背丈より頭一つ分低い背で、必死に俺の手から帽子を取り戻そうと、なんども跳ねたり、俺の腕を引っ張ったりしている。
「もうっ、こんな子供じみたいたずら、しないでください!」
「いーんだよ。俺まだ心は子供だし、お前もまだ子供だし」
「へんな言い訳、止めてください!ていうか、子供じゃないですっ」
ウルアは顔を真っ赤にして、帽子を取り返そうと必死になっている。
「トワル。あなたは何をしているんですか?またウルアさんを困らせるような事をして…」
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