凶悪犯罪対策部

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 突然、ずいぶんと落ち着いた声がした。固まってそちらを見る。  「ヨハン…お前相変わらず陰薄いな」  いつものように、挨拶変わりの悪口を言った。  ヨハンは真っ白で裾の長い神官服を軽く直しながらこちらに歩いてきている。  「あなたが暴れてこちらに気付かなかっただけでしょう」  ヨハンが呆れたように言った。  神官の証しである、長く白い髪を今日は珍しく後ろで緩く結んでいる。相変わらず線が細い。  ウルアが慌てて敬礼する。と、自分の頭の上に帽子が無いことに気づき、俺の手から帽子をひっつかむように取り返す。  そしてハイネックの灰色の軍服を整えると、再びヨハンに向かって敬礼した。  ヨハンが苦笑して胸の下あたりで手を組んだ。
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