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「…で、なんでお前は向こうから歩いてきたんだ?」
ヨハンが俺に話しかけたときから思っていた疑問をぶつけた。
ヨハンが歩いてきたのは、軍上層部の人間が占拠している辺り。
大抵はそういう人間か、そういう人間に取り入ろうという人間しか通らない場所だった。
するとヨハンは、苦虫を噛みつぶしたような顔をした。
「ああ、ヨクト中隊の補佐官にお茶に呼ばれてね。…なんだか随分と丁寧な扱いを受けたよ」
「またか!お前いい加減断るってことを覚えろよな」
そう言うと、ヨハンはわらって肩をすくめた。
最近はよくこういうことがあるらしい。言うなれば、大神官補佐であり、次期大神官であると噂されているヨハンに取り入って、自分の地位をなんとか上げようとしているようだった。
「まったく、バカ貴族の考えることはよくわからん」
「…一応僕も貴族なんだけど。まぁ、確かに身の丈に合わない地位を得ようとするのは理解しかねるね…あ、そうそう」
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