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そう"刺客"が話し始めた時、体が一瞬硬直し、そして急に男の体から力が抜けたかと思うと、目がひどく虚ろになった。
「これは…」
ヨハンが眉根をひそめる。俺が"刺客"の頭を離すと、ヨハンがその頭に手をかざした。
青白い光がヨハンの手を包む。やがてその光が消えると、ヨハンはかぶりをふった。
「…忘却の魔法か…随分と手の込んだ真似しやがる…!」
苛立ち紛れに壁を軽く蹴り上げた。
ヨハンは何も言わず、何か思案しているようだ。先ほどから黙り込んでいる。
やがてヨハンが口を開いた。
「…敵はよほど自分の身元を割らせたくないのでしょうね」
「そりゃあ、そうだろうが。…まぁ、こんな高度な魔法を使えるやつ、となると結構絞られてくるがな。そこらへんはどうやらバカならしい」
トワルは吐き捨てるように言うと、やがて少し思案した。
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