凶悪犯罪対策部

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 ならば、それはいったい何なのか。  それを成し遂げようとする人間は誰なのか。  そして、なぜ彼女がそれほどまでに邪魔なのか。  もしくは、なぜ彼女がそれほどまでに憎いのか。  自分が今追っている事件と同じように、何もわからないままだった。  「…理不尽だ」  ヨハンにも聞こえないよう、小さく呟いた。  なぜ、ウルアばかりがこんな目にあうのだ。家は貴族で、でも貧乏で、だから稼ぐために軍に来て…。それだけの少女だというのに。  今は、世界が不条理にしか見えなかった。
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