凶悪犯罪対策部

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 おそらく、秘密裏に処理したかったのだろう。それなのに、今になってこれだけ送られてきた。焦っていると思わない方がおかしい。  と、いうかまあ、刺客が送られて来ている時点で異常事態なのだが……。  もう一度トワルを見た。かなり苛立っているようで、先ほどから"刺客"を踏みつけたり、持ち物を探ったりしている。  「…トワル、手合わせしませんか?」  "刺客"の持ち物からルカンを探し当て、自分のポケットに入れようとしていたトワルが、驚いたようにこちらを向いた。  「手合わせって、お前…こいつらの処理どうすんだよ」  呆れ顔で言われるが、彼の苛立ちを解消するにはこれが一番であることを、長い付き合いで知っている。  むしろ、放っておく方が危ない。ウルアさんが居れば機嫌がすぐになおるのだが、生憎、今は肝心の彼女は居ない。  「それはそこらへんの人に任せればいいですよ。どうせイライラしてるんでしょう?」  そう言うと、トワルはしばらく思案顔になる。やがて、にやりと笑った。  「いいじゃねぇか、相手してやるよ」
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