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凶悪犯罪対策部
びゅう、と冷たい風が吹いた。胸元まで開けていた軍服を一番上まで閉める。
今は、緑芽吹くクーラの季節であるというのに、冷たい風が吹き荒れている。
後ろにあった相棒の大型バイクに軽くもたれかかり、相棒を待った。
「くそっ、これで何人目だよ…」
相棒のトワルが、もうこれで何回目かも知れない悪態をうんざりといったふうについているのが聞こえた。
私は、トワルが何も見つけることができなかったことを悟り、腹立ち紛れに地面に転がっていた小石を蹴り上げた。
蹴り上げた小石は、虚しい音を立てて地面に転がり落ちた。
やがてトワルは苛立たしげにこちらに歩いてくると、私の隣まで来てバイクにもたれかかった。そして、軍服のポケットからルカンを取り出して火を付け、それを吸い始めた。
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