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唸るようなバイクの音が、ゆっくりと停止した。後ろに乗っていたウルアがバイクから降り、帽子を直している。
俺はエンジンが完全に止まったことを確認して、バイクを降りた。
ウルアの方をちらりと見やる。茶色くくせのある髪に、大人になれば美人になるだろう、可愛らしい顔立ちをしていた。
青みがかった茶色い瞳が、彼女の日に焼けた肌によく映えている。
しかし、今は難しい顔をして、可愛らしい顔立ちがもったいなかった。
無理もない。任された事件が、解決の兆しが見えないのだ。それは悩むだろう。
しかも、階級までかかっているとなると、彼女の生活に関わってくる。
「ウルア」
そう呼ぶと、ウルアはこちらを向いた。何、と訪ねるように小首を傾げている。
その光景を見て、俺は思わず目を細めた。
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