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―――ザー、ザーッ、
――――――ガサ ガサ
それから暫く、三人は林の中を歩き続けるも町へ出る事は出来ず、状況は悪化するばかり。
大量の雨が降り出し、地面は泥だらけ。さすがの三人も疲労困憊し一刻も早く休みたかった。
「っん!?あれは!」
原田が突然叫び、野生の動物のように物凄い速さで走りだす。
「……やっぱりあいつは、人間っつーより猪だよな。」
「何言ってんだ土方さん。あの小さな脳みそと動きからして猿だろ、ありゃ」
二人は原田の野生っぷりに、力無くツッコミを入れ後を追う。
原田が見つけたのは、林の中に突如現れた広場の様な広い土地の中央にある洞窟だった。
しかし、自然に出来た洞窟とは違い大小様々な大きさの岩が積み重なり出来た大きな祠の様な物であった。
外からは、薄暗い中の様子は全く見えず、鮮やかな緑色の苔が生えた祠は古くから、ここに在るのだと物語っている。
何か神々しい様な雰囲気と、不気味な禍禍しい雰囲気を持ち合わせたソレは、来る者を拒むかの様な佇まいをしていて三人はゴクリと喉を上下させた。
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