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「ひ、土方さんよぉ。ここは一つ、副長の威厳を持って一番に入ってくれよっ。」 完全に怯んだ永倉は、ササッと土方の後ろに移動した。 「はあっ!?てめぇ、何言ってやがる。こんな時ばっか俺を副長扱いすんなよ。」 やっぱり土方も、祠に圧倒されているのか踏み込もうとしない。 「ぶえっくしょん!くっそー、寒ぃな。こーなったら、漢!原田左之助様が行ってやらぁ!!」 無駄に熱い原田が、中へ足を踏み入れるとヒンヤリとした空気が全身を包み込んだ。    ────ぽぅっ ――――――――!!!!!!!! それが起こったのは、原田のすぐ後に土方、永倉も後を踏み入れた時だった。 なんと、誰が触れる事なく四隅に置いてあった蝋燭に火が灯った。  ──チャキッ 反射的に土方と永倉は抜刀体制をとった。 原田はさっきまでの威勢は消え去り、手で顔を覆い「きゃっ」と可愛らしく小さく叫んだ。 「左之~!漢なんだろっ?なんつー声出してんだよ。」 原田の声に気の抜けた二人は、呆れ顔で原田を見る。 「わりぃな!俺ぁ、お化けとか大の苦手なの知ってんだろぉ?」 「こりゃ一体ぇ、なんだぁ?」 原田の失態に、余裕が出来た土方が辺りを見渡すと中央に随分と古びた札が貼ってある大きな岩があった。 ──ん?鬼?──封? 褪せ過ぎて読めねぇな。 それにしても、でけぇ岩。 「なんか貼ってあるぜ?剥がすかぁ?」 土方が札を眺め、物思いに更けていると唐突に横から原田の声がした。 ─剥がす? そりゃまずいだろ! 「お、おい!やめ」   ──ペリッ 「「「っあ。」」」 土方の制止に、驚いた原田は手を引っ込めようとしたが、あっけなく札は剥がれてしまった。  
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