彼女(ヤツ)は現れた

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「おはよう、桜岡くん!」 「あぁ、おはよう」 俺はどこからどう見ても普通の高校生だ 「おっす、健」 「あぁ、おはよ」 世のオタクを悪くいうつもりはないが、見た目は悪くない。 むしろ良い方だろう。 最も、彼女はいないのだが。 いない歴16年間で何が悪い。 「やだぁ、アイツ絶対オタクじゃん!」 その声が指す方を見てみた。 メガネ。 小太り。 鞄に付けられた女性キャラクターの小物。 表紙に女性キャラが描かれた本に顔を隠すように読む。 いや、あれはオタクではない。 いや、オタクというより、あれではただの変態だ。 むしろ、俺がオタクである。 モノホンだ。 俺の格好とは コンタクトレンズ使用 引き締まった肉体 鞄には何もついていないシンプル 本には基本、カバー付き 女子の言う人物とはかけ離れた人種である。 それでも俺はオタクだ。 「おい健くんよー、数学の宿題やったか?」 「いや、やってない」 「お、まじか!」 「と思ったが、やっていた」 「おまっ!!仲間じゃねーな!!」 「俺は俺の仲間である・・・・なんてな?」 「かー!!!!この裏切り者―!!!」 「裏切り者?ならばこの数学の宿題が記載されたノートはいらぬというのか、越後屋よ」 「なっ!それはっお許しください、お代官様―!!!」 「はっはっは!控え控えーこのノートが欲しければ控えよー」 「「ブッ!!」」 そう、俺はオタクには絶対に見えない そのはずだった 今日 アイツが出てくるまでは
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