彼女(ヤツ)は現れた

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「おーい、お前ら、HR始めんぞー。20分で終わるんだから黙って聞けよー」 ガラガラと引き戸が開き、スーツに身を包んだ男が教室に入ってくる 教台につき、クラス全体を見渡す そして言葉を発した 「喜べC組!転校生を勝ち取ったぞー!!!」 「え、マジ!?」 「やったー!!女子っすか!?」 私立御宮高校は中学からのエスカレーター式である そのため、途中入学など珍しい 高校受験で入ってくる者もいるが、それもほんの少数。 10人入ってくればいい方である ここまで言えばわかると思うが、転校生など稀だ。 希少価値の高い存在なのである。 中学から代り映えのないクラスメートに飽き飽きしている俺らにとっては喜ぶべきイベントである。 「よし、入ってこい」 扉が開き、一人、教室に入ってきた スタスタと教師の横まで行き、俺たちの方を見た 誰もが息を飲んだ 頭の上で一つにまとめられた髪 大きな、吸い込まれそうになる瞳 ふっくらとした唇 服の上からでもわかる身体のライン スカートからのぞくスラリとした足 美しい そんな彼女が入ってきた 「宮下里香です」 凛とした声が教室を支配した そしてそのあと さらに教室を支配した 「趣味はエロゲーです」
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