第一章

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学校を出ると、電話が掛かってきた。 「田中明」と画面には記されている。 「はいはい、もしもし」 『あぁ、龍二、今ドコ?』 「学校の前だけど、何?どうかした?」 電話の向こうからは、電車の音。 駅か線路の近くにいるのだろうか? 『亜衣が、龍二の家に行くって言いだしてさ、今から行こうと思ったんだけど…いないなら仕方ないか』 「悪いな、純也を待ってなくちゃいけないから」 『大丈夫大丈夫、亜衣には俺が伝えておくから、それじゃ…』 それで、電話は切れた。 話に出てきた亜衣は、フルネームで「中尾亜衣」という。 活発すぎる女子で、うちのメンバーでは純也と並ぶ位のお転婆娘だ。 電話の相手の「田中明」は頭も良く、人も良いやつで、それで優しいのだから皆から好かれて当たり前だ。 なんて紹介していたら、純也からメールがきた。
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