†月下の花嫁†

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「……ん?」 目を開けると、見渡す限り一面の草原が広がっていた。 空には欠けた月が輝いている。 「ここは、どこだ?」 確かにさっきまで自分の部屋にいたはずなのに。 「……え?」 ザクッと草を踏み鳴らす音が聞こえ、音がした方を見た俺は、思わず絶句した。 月明かりを浴びてキラキラ輝いているのは、銀色の……。 「お……狼!?」 狼は俺のデカイ声を気にした風もなく、ゆっくり近づいてきた。 (もしかして俺、狼に食べられる?) 恐怖で腰が抜けてしまって動けない。 狼に襲われて死亡なんて、マジにありえないぜ!! 俺は涙目になりながら、狼が近づいてくるのを見つめた。
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