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「……今回の花嫁は奥ゆかしいな」
「……!?」
突然耳障りのいい低い声が聞こえて、ビクッとして目を開ける。
(どこから声が?)
周りを見渡しても、目の前の狼以外は何もいない。
(……もしかして、空耳か?)
それとも恐怖で、現実逃避したとか……?
いまいち判断出来ず呆然としていると、笑い声が聞こえた。
「何をキョロキョロしているのだ?我が花嫁」
「はぁ!?」
覆い被さっていた狼が、可笑しそうに唇を歪めた。
(お……、狼が喋ったぁ!?)
驚き過ぎて、とっさに声が出ない。
でも……、
「狼って、日本語話せたっけ?」
「わはははは!お前は面白いな。それは今、訊くことか?」
狼は腹を抱えて笑い出した。
確かにそうかもしれないが、そんなに笑うことはないと思う。
正直、狼に馬鹿にされたようで面白くない。
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